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ホンジュラスと世界をつなぐキーマン「ロニーさん」/ スペシャルティコーヒーの産地で起こっている新潮流

POSTED : 2025.10.30

今年3月、常盤珈琲オーナーとマネージャーの2人でホンジュラスを訪問しました。そこで出会った素晴らしいスペシャルティコーヒーを1ヶ月通してご紹介!ホンジュラスコーヒーの魅力を楽しみ尽くす11月!

店頭、オンラインストアともに「ホンジュラスフェス」と題してキャンペーンを行っています。この機会にホンジュラスのスペシャルティコーヒーの魅力、そしてホンジュラスコーヒー業界のキーマンであるロニーさんと、常盤珈琲のダイレクトトレードの取り組みを少しご紹介できればと思います。

 

ロニー・ガメス(Rony Gamez)

ホンジュラスの輸出業者であるRaga Caféを2014年に設立。IHCAFE(ホンジュラス国立コーヒー協会)の品質最高責任者でもあり、COEの国際審査員、ヘッドジャッジも務める。ホンジュラス中の農園を周り、農業に関する技術指導、品質管理の指導も行う。また、現在は農園の後継者育成にも力を入れており、ホンジュラスの次世代を担う若者たちのためのコーヒースクール設営も行う。まさにホンジュラスのキーマンと言える存在。

 

 

●ロニーさんの想いを、常盤珈琲のお客様へ

今回、ホンジュラスのロニーさんの紹介を通して、スペシャルティコーヒー産地の”今”を感じていただけたらと思います。今年3月、常盤珈琲スタッフ2名で、中央アメリカの2か国、ホンジュラスとエルサルバドルへ約2週間訪問してきました。ホンジュラスではロニーさんが世界へ紹介する注目の産地へ一緒に訪問し、旧知の生産者との再会を喜び合い、彼らが作る素晴らしいコーヒーを買い付けることができました。毎回訪問する度に、生産者は村をあげて我々の訪問を歓迎してくださり、とても暖かい気持ちでいっぱいになります。今回、とくに嬉しかったのは、ロニーさんがオーナーをつとめるククルチョ農園に初めて訪問できたことです。とても急な山の斜面にあるため、車が通る道がなく、一人一人ロバに乗って向かいました。ホンジュラスの小規模生産者が所有する農園は、このような環境にあるところが多く、コーヒーの収穫や精製など本当に大変な作業を伴うということを実感します。

 

●ホンジュラスコーヒーを牽引するロニーさん

ロニーさんは、ホンジュラスのマルカラ地区で育ち、農学校を卒業しコーヒーの生産者組合でカッピング(コーヒーのティスティング方法)を学び、IHCAFEに入りました。そこで、品質最高責任者となり、ホンジュラスコーヒーのレベルを上げるために、農家の指導に国中を駆け回りました。そんな中でCOE(カップオブエクセレンス・国連のプロジェクト主導のスペシャルティコーヒーの国内コンテスト)がスタートしロニーさんも国際審査員として経験を積み、ホンジュラス初のヘッドジャッジも務めました。ヘッドジャッジはCOEを成功させるキーマン!責任ある重要な役割を果たします。

 

●夢はスポットの当たらなかった産地と世界をつなぐ事

ロニーさんはIHCAFEの仕事を通して多くの素晴らしい小規模生産者の存在を知りました。”もっとこのコーヒーを世界に紹介したい”そんな想いが強くなり、独立を考え、2014年Raga Café(輸出会社)を設立。そして、ここからロニーさんの快進撃が始まります。日本の商社と協力して、それまでマルカラ地区の豆と一括りにされていたサンティアゴプリングラ地区やポッソネグロ地区の小規模生産者にスポットをあて、彼らのとびきり素晴らしいコーヒー豆を世界中のバイヤーに紹介してきました。地域の付加価値を高める努力を重ね、今ではホンジュラスの中でも優良産地として知られ、多くの生産者がCOEで上位入賞も果たしています。さらに継続的に品質を上げるために無償で農業指導し、機械導入などのサポートも行っています。

 

●次世代の育成

ロニーさんは長い目で見て家族経営の小規模農家の次世代を育てることはとても重要と考え、カッピングの技術指導や農業教育も実際に農園に入り、行っています。生産者から寄せられる様々な相談や農園の経営、マネジメントについても教えるなど、ロニーさんの献身的な取り組みやその姿勢に共感し、高品質コーヒーの産地として有名な他の地区の生産者もロニーさんを頼り集結しています。

 

●その他にも・・・

ロニーさんは9月、毎年開催されるスペシャルティコーヒーのイベントの視察に生産者5名を連れて来日しました。目的は生産者へ消費国の状況を見てもらい、実際にどのように自分たちの作るコーヒーが消費されているのか、ということを知ってもらうためです。常盤珈琲の氷川参道店にも訪問してくださり、スタッフとともに今年のコーヒー豆の生産状況や新しい取り組みについて様々な話題で情報交換。お互いにとって貴重な時間となりました。

 

●ロニーさんのもう一つの挑戦

それは、<オーナーとして農園経営をする>ことです。農学校で学び、農事師としても活躍してきたロニーさん。2017年にククルチョ農園を購入した目的は、自ら農園を持ち、様々な実験に取り組むためです。そして、成果があったことを生産者へ還元することでした。実際に農園では様々な品種の栽培や精製方法のトライアル、病害対策の新しい方法が試されています。また、ククルチョ農園でマザーツリーの苗床から育てられた苗を生産者に無償で配布しており、ゲイシャやパカマラ、SL28、いわゆる超高級品種生産にチャレンジすることが可能になりました。生産者のモチベーションにもつながり、全体の品質を大きく上げる意味で、非常に素晴らしい取り組みだと感じます。

 

●小規模生産者とともに、未来を創る

産地で起こっている新潮流とは何か?それは、ロニーさんのように、カッピングの技術がある輸出業者が長い視点を持って小規模生産者をサポートし、新しい産地、新しい品種、新しい精製方法を世界に紹介し、拡げていることです。単なる<輸出業者>の枠を超えて、生産者とともに、気候変動やマーケットの暴騰を超えて、ホンジュラスのスペシャルティコーヒー豆をよりよくすること、より世界に発信していくことに取り組んでいます。この取り組みによって、産地で作られるコーヒーの品質は、年々上がっています。この流れは、ホンジュラスだけでなく、昨年、訪問したグアテマラのプリズマを運営するエドゥアルドさんやアフリカのエチオピア、ルワンダ・・など世界中にひろがっていると感じます。常盤珈琲では、ロニーさんのように小規模生産者と手を組んで、持続可能な取り組みをしているエクスポーターとつながりを持ち、世界中の高品質で適正な価格のスペシャルティコーヒー豆をダイレクトトレードでお客様に紹介していきたいと考えています。ロニーさんは常盤珈琲の活動をサポートしてくれる大切なパートナーです。美味しいスペシャルティコーヒー豆を世界中のお客様へつなぐために、産地でチャレンジし続けているロニーさんの熱い想いを少しでも感じていただけると嬉しいです。そして、常盤珈琲では、ビジネスを超えたスペシャルティコーヒーへの想いで、世界中のパートナーとこれからもつながっていきます。